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【高齢者も安心】お花見に行くときの準備体操や身体ケアを紹介!

身体機能に
合わせた準備を
リハスタッフが解説

2025年3月24日

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【高齢者も安心】お花見に行くときの準備体操や身体ケアを紹介!

厳しい冬の寒さが和らぎはじめ、桜の開花予想や桜の見ごろが気になるシーズンに突入したこの頃、ご高齢の方と一緒にお花見を快適に楽しむための情報収集を行いたいと考えている方が多くいらっしゃるのではないでしょうか。

お花見に出かけることは、気分をリフレッシュするだけでなく、自然と体を動かす良い機会に繋げることができるので、ご高齢の方にもおススメです。

本記事では、

高齢者の方でも安心してお花見を楽しめるために、お花見に行く前の準備体操の方法や、体調や嚥下機能に合わせたお弁当メニュー、「おうちにかえろう。病院」で行っているリハビリ支援の方法について、お届けします。

ぜひ、ご覧ください。

本記事でお届けしていること

この記事の監修

「おうちにかえろう。病院」
言語聴覚士 岡本さん

お花見が与える効果

ここからは、お花見が与える効果を2つご紹介します。

心をリフレッシュできる

厳しい冬の寒さを乗り越えた草木が花を咲かせ、温かな風が吹き始める季節。満開の桜の景色を楽しみながら交流することで、心が自然と癒され、心をリフレッシュできます。

さらに、桜の木からは「フィトンチッド」という成分が放たれており、この成分を吸収することで、人はリラックス効果を得られるといわれています。

桜が咲き誇る環境の中で過ごすことでも、穏やかな癒しを感じることができるでしょう。

運動につながる

お花見をしながら公園の中を歩くことで、運動につなげることができます。

ウォーキングにはさまざまな効果があり、歩くことで分泌されるセロトニンが気分を明るくしてくれます。また、筋力の維持や心肺機能の向上など、心と身体を健やかに整えてくれる効果も期待できます。

ご高齢の方と一緒にお花見を楽しむ際には、無理のないペースで歩き、こまめに水分補給や休息をとりながら、心地よいひとときを過ごしましょう。

身体機能別 お花見で注意すること

ここからは「お花見で注意することについて、身体機能別に」ご紹介します

自立して歩ける方のケース

自立して歩ける方は、こまめに水分補給や休息を取りながら、無理のないペースでウォーキングを楽しみましょう。

また、アウトドアで使われるような椅子に座り、足腰に負担をかけない姿勢でゆったりと過ごすことで、快適なお花見につなげることができます。

ただし、悪天候に伴い公園の地面がぬかるんでいたり、舗装されていない場所を歩く際には、転倒につながるケースもあるので、充分に注意しましょう。

自立して歩くことが困難な方のケース

自立して歩くことが困難な方は、公園内で道が整備されている場所を選んで移動することを心掛けましょう。その際、砂利や地面の凹凸などの障害物に注意し、介助者のサポート体制を整えることが大切です。

お花見シーズンは、普段より多くの人々が集まるため、最も混雑するエリアや時間帯を避けることが重要です。

また、途中で休憩できる場所を事前に確認しておくことで、より安全にお花見を楽しむことができます。

車いすに乗っている方のケース

車いすに乗っている方は、多機能トイレやバリアフリー対応が整備されている場所を事前に調べておくと安心です。

介助者の方が同行する場合は、常に車いすのブレーキに手を掛け、慎重に移動するよう心掛けましょう。特に坂道を下る際は、車いすの向きを後ろに向けて進むなど、車いすに乗っている方の安全を守るサポートを行うことが重要です。

また、人が多く集まるエリアや道を進む際には、周囲の人々に配慮し、衝突や通行の妨げにならないよう注意を払いながら移動しましょう。

お花見に行く前の準備体操

ここからは、お花見にいく前の準備体操について、ご紹介します。

座って足踏み!

まず最初に、膝や腰の負担を減らす体操を行いましょう。

この体操は、椅子に座った状態で体操することができるので、ご高齢の方でも安全に行うことができます!

  1. 椅子に座りながら、背筋を伸ばして両足を肩幅に開きましょう
  2. 次に、片足を床から数センチ上げて、10秒間その状態をキープ!

この動作をもう片方の足でも繰り返し、合計5セットこの体操を行いましょう!

この体操に余裕を感じる方は、片足を床から少し浮かせて、膝を軽く曲げた状態で、足を内外にゆっくり回してみる動作を加えてみてもいいでしょう♪

この準備体操をすることで、膝にかかる負担を減らすことができるようになります。

足腰をしっかりほぐす体操

次に行う体操は足腰をしっかりとほぐす体操です。

足腰をしっかりとほぐす手順は、以下の通りです。

  1. 椅子に座った状態で両足を肩幅に開き、膝を軽く曲げる
  2. 膝を大きく回すように、ゆっくりと時計回り・反時計回りに回す。

この動作を10回程度繰り返し行うことで、 膝の関節の可動域を広げ、膝の周りの筋肉をほぐすことができます。

転倒を防ぐバランス向上体操

最後に行う体操は、転倒を防ぐためのバランス向上体操です。

お花見を楽しむ公園では、地面がぬかるんでいたり、段差に躓いたりすることがあり、転倒のリスクが高まります。転倒を防ぐためには、バランス感覚を保つ運動が非常に重要です。

バランス感覚を養うための体操は、次のように行います。

  1. 椅子に座り、片足をゆっくりと持ち上げ、足踏みをするように動かします。

この動作を両足で10回程度繰り返すことで、足腰の筋肉が鍛えられ、バランスを取る力が向上します。

思いがけない転倒を防ぐために、しっかりと準備体操を行い、お花見を楽しむ準備を整えましょう。

体調に合わせたお弁当メニュー

ここからは、体調に合わせたおすすめお弁当メニューをご紹介します。

低塩・低脂肪食材を使ったメニュー

最初にご紹介するメニューは、低塩・低脂肪食材を使ったメニューです。

低塩・低脂肪食材を使うことで、血圧上昇を抑制したり、動脈硬化や心疾患のリスク軽減につなげることができます。

そこで、お花見に持っていくお弁当のメニューの中に、ごま油やオリーブオイルなどで味付けをした豆の煮物や、豆腐サラダをお弁当の一品に入れてみてはいかがでしょうか。

低塩・低脂肪食材を使ったおススメメニュー
・ごま油やオリーブオイルで味付けをした豆の煮物
・豆腐サラダ

柔らかい食材や噛みやすい食材を使ったメニュー

続いてご紹介するのは、柔らかい食材や噛みやすい食材を使ったメニューです。

圧力鍋などを使用して食材を柔らかく調理したり、食材を細かく切ることで、嚥下機能が低下している方でも無理なく食事を楽しむことができます。

お花見にいく際には、にんじんやりんごを使ったスムージーにすることで、嚥下機能が低下している方でも、美味しく飲みやすく、栄養補給ができます。

柔らかい食材や噛みやすい食材を使ったメニュー
・にんじんやりんごを使ったスムージー
・柔らかい食材を使った煮物

とろみをつけた食事メニュー

続いてご紹介するのは、とろみをつけた食事メニューです。

お花見のお弁当メニューにとろみをつけた料理を加えることで、嚥下機能が低下している方でも安心して食事を取れる可能性があります。

ただし、食べ物を飲み込む嚥下力には個人差があり、とろみをつけすぎることによって、誤嚥につながるリスクがあるので、注意が必要です。

市販のとろみ剤や調味料を加えることによって、料理にとろみを加えることができるので、豆腐のあんかけやとろろごはんなどをお花見に持っていくことがおススメです。

とろみをつけた食事メニュー
・豆腐のあんかけ
・とろろごはん

見た目が華やかで食欲をそそるメニュー

最後にご紹介するのは、見た目が華やかで食欲をそそるメニューです。

色彩のある食事をお弁当に加えることで、食欲が低下している方が視覚的に食事を楽しむことができたり、食欲を促進させる効果をもたらす可能性があります。

見た目が華やかで食欲をそそるメニュー
・茶碗蒸し
・フルーツヨーグルト

ご高齢の方とお花見に行く公園を選ぶときのポイント

アクセスしやすい公園

まず最初のポイントは、アクセスしやすい公園を選ぶことです。

お花見シーズンには多くの人が公園に集まり、園内が混雑することが予想されます。

車で訪れる場合は、駐車場から公園の入口までの距離が近い場所を選ぶと、移動の負担を軽減できます。また、電車を利用する際は、駅から直結している公園を選ぶことで、移動がスムーズになり、快適にお花見を楽しむことができます。

お花見を検討する際には、自宅から花見スポットまでのアクセスを考慮してみましょう。

バリアフリー設備が整っているか

次に大切なのは、バリアフリー設備が整った公園を選ぶことです。

車いすを利用される方やご高齢の方と一緒にお花見を楽しむ際は、段差の少ない歩道やスロープが整備された公園を選び、広めの休憩スペースやベンチのある場所を確保すると、より快適に過ごせます。

また、公園によってはトイレなどの施設が老朽化していたり、多機能トイレが設置されていない場合もあります。事前に公園の設備を確認しておくことで、当日の不安を軽減し、安心してお花見を楽しめることにつながります。

お花見で叶えたいポイントを抑える

最後に大切なのは、お花見で実現したいポイントを整理しておくことです。

お花見に出かける前に、「桜を眺めながらご家族やご友人との交流を楽しみたい」、「桜をゆっくりと堪能したい」、「美味しい食事を楽しみたい」など、目的を明確にしてみましょう。

事前にお花見で叶えたいことを整理することで、どのような準備や公園選びが必要かを把握でき、より快適にお花見を楽しむための準備が整います。これにより、素晴らしいお花見を実現することができます。

「おうちにかえろう。病院」に入院している患者さんたちが、季節の変化を楽しむための工夫

最後に「おうちにかえろう。病院」に入院している患者さんたちが、季節の変化を楽しむための工夫について、スタッフの取り組みをご紹介します。

東京都板橋区にある全床120床の地域包括ケア病棟を持つ「おうちにかえろう。病院」では、スタッフのアイデアを活かして、病棟内で夏祭りやクリスマスなどの季節感を感じていただけるイベントを企画・実施しています。

「おうちにかえろう。病院」には、認知症などの疾患を患い、暦の感覚を把握できない患者さんが入院されることがあります。

そうした患者さんが季節の変化を感じ、認知機能の維持に繋がる方法を模索するとともに、1日中ベッドで過ごす患者さんに対して、離床のきっかけを作る方法についても模索していたところ、生まれた企画が「夏まつりイベント」です。

スタッフたちのアイディアによって、

お祭りのコンセプトづくり・チラシづくり・当日運営を行いました。

さらに、「おうちでよかった。訪看」と連携し、訪問看護で関わっている患者さんの手によって作られたクリスマス仕様のカルトナージュを、「おうちにかえろう。病院」の患者さんに届ける企画を実施。

これらの企画はすべて、病棟で働くスタッフのアイデアによって実施されており、その根底には、

「患者様に、自分らしく過ごせる時間を提供したい」

というスタッフ一人ひとりの強い想いが込められています。

まとめ

本記事では、ご高齢の方と一緒にお花見を楽しむための事前準備やお弁当の工夫についてご紹介。そして「おうちにかえろう。病院」では、入院中の患者様が季節の変化を感じられるように実施されているイベントや企画についてもお届けしました。

少しでもこの記事を読んだ方が、お花見を楽しめたり、自宅や施設の中でも季節の変化を楽しめるコツについてお役に立てれば幸いです。

TEAM BLUEでは「おうちにかえろう。病院」で働く看護師や理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の方を募集しています。

オンラインによるカジュアル面談も行っておりますので、お気軽にお申込みください!