#コラム

【病院のリハビリ】退院支援を見据えたリハビリとは?

退院支援を見据えた
リハビリについて
解説します。

2025年2月21日

SHARE

【病院のリハビリ】退院支援を見据えたリハビリとは?

 病院で行うリハビリは、患者さんの機能回復だけに留まらず、患者さんが退院された後の、生活を見据えたリハビリを提供することが重要な指標の1つです。

一言でリハビリをするといっても、急性期病院・回復期病院・地域包括ケア病院で働くリハビリスタッフにとっては、患者さんの各ステージに応じた適切なリハビリ介入が求められます。

本記事では、

急性期病院、回復期病院、地域包括ケア病院で行うリハビリの特徴、そして退院支援を見据えたリハビリについてや、「おうちにかえろう。病院」で行う退院支援についてお届けします。

ぜひ、ご覧ください。

本記事でお届けしていること

この記事の監修

「おうちにかえろう。病院」
言語聴覚士 岡本さん

病院で行うリハビリ

ここからは、リハビリの特徴を、病院分類別にご紹介します。

急性期病院の場合

 急性期病院では、患者さんが症状を発症したタイミングや、術後すぐのタイミングでリハビリ介入が行われます。早期段階でリハビリが介入する主な目的は、患者さんの身体回復を促進させたり、廃用症候群の予防につなげることです。

急性期病院は、患者さんが長期間にわたって入院をすることが難しいため、主に回復期病院や地域包括ケア病棟への転院、もしくは在宅復帰に向けた評価と調整を行うリハビリを実施します。

そのため、急性期病院におけるリハビリは、身体を元の状態に回復させることが目的ではなく、回復期や在宅復帰を見据えたサポートをすることが求められます。

回復期病院の場合

 回復期病院では、急性期の治療を終えた患者さんが、日常生活にもどるために歩行や日常生活動作(以下、「ADL」)訓練などを中心に、リハビリを集中的に行います。

そのため急性期病院では、1日あたり約30分程度のリハビリを実施するのに対し、回復期病院では、1日最大3時間までリハビリを行うことが可能です。

そのほかにも、患者さんが在宅復帰を目指すために、ご家族への介護指導や、退院後の訪問リハビリ介入調整などを行います。

地域包括ケア病院の場合

 地域包括ケアでは、急性期治療を終えた患者さんの、在宅復帰を支援するためのリハビリを行います。また、在宅療養中に症状が悪化した患者さんを一時的に受け入れ、回復までの治療を提供しています。

地域包括ケア病院の入院期間は、現在の制度では*60日が上限とされています。

地域包括ケア病棟では、60日間という入院期間の中で、患者さんが退院後の生活に適応できるよう、実際の生活を想定したリハビリを行うことが求められます。

*入院期間の上限は、施設によって異なる場合があります。

リハビリを行う職種

ここからは、リハビリを行う職種についてご紹介します。

理学療法士

 理学療法士の仕事は、事故で怪我をしたり、病気で入院している方を対象に、関節可動域訓練などの運動療法や、電気療法などを用いる物理療法などを活用して、患者さんの身体機能や機能回復を専門的に支える仕事です。

理学療法士の仕事は、患者さんの状態を確認しながら、医師の指示のもと、患者さんの身体的な回復や生活の質を支える役割を担っています。

具体的には、患者さんが退院して自宅や施設に戻られたあとに、自立して生活を送ることができるよう、椅子やベッドから立ち上がる練習を行うADL訓練や、マッサージや温熱療法といった外から刺激を与えて、痛みの緩和や運動回復の改善を向上させるリハビリを提供しています。

理学療法士として働くためには、専門の大学学部や専門学校を卒業したのちに、国家試験に合格する必要があります。卒業後には、病院やスポーツ選手のインストラクターなどに就職するケースが多くあります。

作業療法士

 作業療法士の仕事は、身体機能の回復をサポートする訓練を行うだけでなく、患者さんの想いや感情に寄り添い、自立した社会生活や日常生活を再び送ることができるよう、日常生活の動作や作業の訓練を通してサポートする仕事です。

作業療法士の仕事は、患者さんのその人らしい生活や自分を取り戻して、その生活を支えるサポートをする役割を担っています。

具体的には「着替えが1人で行える」「トイレに1人でいける」などの目標を立て、患者さんが病院を退院したあとに自立して生活ができるように、動作訓練や手指のリハビリを行います。そのほかにも、精神的な不調があることで、自信を持つことが難しい患者さんに対して、想いを汲み取りながら精神的なサポートも行います。

作業療法士になるためには、専門学科や学校を卒業したのち、国家試験に合格する必要があります。卒業後は主に病院や介護施設に就職するケースが多くあります。

言語聴覚士

 言語聴覚士の仕事は、「食べる」「話す」「聞く」ことに困難を抱える患者さんに対し、発声や言語の訓練を通じて患者さんの「コミュニケーション」を支える仕事です。

言語聴覚士の仕事は「話す」「聞く」というコミュニケーション機能や、「食べる」機能の回復のサポートを通じて、患者さんの人生や生活の質を向上させる役割を担っています。

たとえば、摂食嚥下機能に障がいを抱えている患者さんに対しては、摂食嚥下の状態を確認・分析し患者さんに合わせた嚥下訓練を行います。

具体的には、実際に食べ物を口に入れながら摂食機能を高める直接的嚥下訓練や、頸部や唇をマッサージして嚥下機能を回復させる間接的嚥下訓練を行います。その他にも、失語症を抱える患者さんに対して、音読や復唱といった訓練やジェスチャーを使ったアプローチを通じてケアを行います。

言語聴覚士になるには、専門の学部学科などを卒業したのち、国家試験に合格する必要があります。卒業後には、病院への就職に加え、聴覚支援学校・特別支援学校などに就職するケースもあります。

退院支援を見据えたリハビリとは

続いて、退院支援を見据えたリハビリについて、ご紹介します。

身体機能の回復・維持

 病院で行うリハビリは、身体機能の回復や評価をすることだけでなく、退院後の生活を見据えた身体機能の回復・維持を目指すリハビリが重要になります。

具体的には、患者さんが退院された後に、実際に過ごすご自宅や施設の生活環境や、同居される方の有無を確認しながら、筋力トレーニングやバランス訓練を実施します。たとえば、段差の数が多い自宅に住んでいる患者さんに対しては、昇降訓練を行ったり、転倒を回避するためのトレーニングを実施します。

日常生活動作(ADL)の訓練

 リハビリを通じて身体機能が回復しても、実際に生活する環境での動作に困難を抱えている状態では、退院後の生活が自立できないケースがあります。そのため、患者さんの身体的能力を考慮しつつ、食事・トイレ・移動などの動作訓練を行い、退院後の自立した生活を支援します。

例えば、独居で生活されていて、食事のサポート体制が少ない環境で生活を送る患者さんには、箸やスプーンを使う訓練や嚥下訓練を実施し、ADL訓練を行います。

このリハビリには、患者さん自身が「できる」ことを1つずつ増やしていきながら、精神的な自信を持ってもらう側面も持っています。

住環境調整のアドバイス

 患者さんが退院された後の生活環境を調整することも、退院を見据えたリハビリをする大切な要素の1つに含まれます。たとえば、患者さんのご自宅の階段に手すりがない場合は、手すりの設置を提案したり、福祉用具の活用を提案して、暮らしやすい生活環境をアドバイスすることがあります。

そのために、退院前に患者さんのご自宅をリハビリスタッフが訪問して、自宅環境を確認することがあります。そこから福祉用具の選定を行ったり、たとえば滑りやすい床や転倒する可能性がある場所に、滑り止めや手すりの設置提案を行い、環境調整をサポートします。

社会復帰・在宅生活の準備

 リハビリの大きな目的は、患者さんが生活できる身体機能的回復や環境調整を出来る限り行い、社会生活を送れるようにサポートすることです。たとえ病院では回復できていたとしても、実際に生活に戻ったときに自立が困難にならないように、社会復帰や在宅生活の準備を行います。

具体的には、患者さんが外出時に困らないように、公共交通機関の利用練習や買い物訓練といった日常生活のサポートをしたり、患者さん自身の心の安定や自信をつけるために、患者さんが退院後に抱える不安を軽減できるように精神的なサポートを行います。

そのほかにも、退院後に仕事復帰をする予定がある患者さんには、デスクワークの練習や体力づくりの支援を行うなど、患者さんが退院後に送られる生活を見据えた復帰準備をします。

そうしたサポートを通じて、患者さん自身が安心して生活を送れるようなサポートを行います。

 「おうちにかえろう。病院」で行う退院支援とリハビリ

続いて「おうちにかえろう。病院」で行う退院支援について、ご紹介します。

多職種連携

「おうちにかえろう。病院」には、医局やナースステーション、リハビリスタッフルームといった専用の部屋がありません。

すべてのスタッフが同じ制服を着用し、病棟内でカルテの記入や業務を行っています。このような環境により、職種や年次の垣根がなくなり、患者さんの情報共有や意見交換が活発に行われる文化が根付いています。

看護師とリハビリスタッフでは、患者さんの姿の捉え方が異なることがあります。それぞれの視点を大切にしながら、患者さんの思いや本音を引き出すためのコミュニケーションをとっています。

医師・看護師・理学療法士・作業療法士などが集まり、毎日行われるカンファレンスの様子

患者さん主語のリハビリ

「おうちにかえろう。病院」では、患者さんを主体とした看護やリハビリを提供しています。

スタッフの視点から患者さんの姿や想いを想像し、退院後の生活を見据えたリハビリを行うのではなく、患者さんが歩んできた人生や自ら発した言葉を大切にしながら、“患者さん主語”のリハビリを実践しています。

この環境を実現するために、カルテには患者さんが発した言葉をすべて記録し、その言葉に込められた想いを多職種が共有できるよう、情報共有の仕組みを整えています。

「自分らしく」生きられるための支援

「おうちにかえろう。病院」では、患者さんとご家族が「おうちに帰ろう。帰ってあれやろう。こう過ごそう」と、心から感じて「よし、家に帰ろう」と立ち上がれるような支援をしています。

そのために患者さんやそのご家族とのコミュニケーションを通じて、患者さん自身の「自分らしさ」を見つめる時間を大切にしたり、医師・看護師・リハビリスタッフ・ソーシャルワーカーなどの多職種連携を通じて、安心してご自宅に帰られる環境調整を行います。

「おうちにかえろう。病院」で働くリハスタッフの想い

「おうちにかえろう。病院」で働くリハスタッフには、急性期・回復期・慢性期病院を経験したスタッフが多数在籍しています。

「もっといい時間が過ごせたのではないか」

「残されたご家族はその後どのように過ごされているのか」
様々な患者さんとの出会いや葛藤を経験した人たちが、

「患者さんの人生や想いを真ん中に置いたリハビリをしたい」
「人が人を想うチームで働きたい」

そんな気持ちを持ちながら、患者さんとの関わりを大切にしています。

実際に働いている理学療法士のインタビュー記事は、こちら

まとめ

本記事では、急性期、回復期、地域包括ケア病棟で行うリハビリの特徴・退院支援を見据えたリハビリ・「おうちにかえろう。病院」で行う退院支援についてお届けしていきました。

TEAM BLUEでは「おうちにかえろう。病院」で働く看護師や理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の方を募集しています。

オンラインによるカジュアル面談も行っておりますので、お気軽にお申込みください!