#密着取材

患者さんの想いと力を掛け合わせて大切な人に届ける“季節の小箱”

企画を生んだ
スタッフに
想いを
聞いてみました!

2024年12月12日

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患者さんの想いと力を掛け合わせて大切な人に届ける“季節の小箱”

みなさんこんにちは!TEAM BLUE本部INFO(広報)チームです。

いつもTEAM BLUE採用サイトのコラムをご覧いただきありがとうございます。

気が付けば12月に入り、今年も残すことわずかになりました。

12月といえば、もうすぐクリスマス!「おうちにかえろう。病院」では、12月12日(木)から25日(水)にかけて、とあるスタッフのアイディアによって生まれた、特別な企画をご用意しています。

その名も大切な人に届ける“季節の小箱”

今回のコラムでは、この企画を生んだ「おうちでよかった。訪看」に所属する理学療法士の、名越さんにインタビューさせていただきました。

ぜひ最後までご覧ください!

▼名越さん

2020年中途入職。退院後の患者さんの姿を想像できなかった経験から、患者さんの生活により近い場所へ行くことを決意し、TEAM BLUEに入職。日々の暮らしを丁寧に楽しむことが好きで、趣味は、自分で豆を挽いてコーヒーを入れたり、季節の食材を使ったお菓子作りをすること。

大切な人に届ける “季節の小箱” について教えてください。

 大切な人に届ける“季節の小箱”とは、数名の患者さんが、手作りで制作してくださった季節を感じられる小箱のことです。

この“季節の小箱”は、12月12日(木)から25日(水)の期間限定で、「おうちにかえろう。病院」1階のロビーに展示させていただくのですが、なんと今回、展示されている中から、お気に入りの小箱をお持ち帰りすることができる試みを企画しました!(「おうちにかえろう。病院」の病室に飾るのもOK♪)

季節の小箱を「おうちにかえろう。病院」の病室や、ご自宅にもお持ち帰りいただける理由は、小箱を手に取った方から、また別の誰かへ、想いを届けていただきたいから。

そんな試みを「おうちにかえろう。病院」で実施いたします。

「おうちにかえろう。病院」に展示予定の季節の小箱

この企画を生んだ背景を教えていただけますか?

 私たちは「自分らしくいられる時間を通して、前を向ける暮らしをつくる」という想いを持って、日々患者さんのご自宅で訪問リハビリをさせていただいています。

“生活していくために、身の回りのことは自分で出来るようになりたい”
“再び趣味の活動ができるようになりたい”

そんな想いを持ってリハビリに取り組む患者さんがいる一方、ご家族やヘルパーさんが、身の回りのことや、家事をサポートしてくださる環境に身を置いてる方も多くいます。そうなると、これまで家庭内で母親や父親としての役割や、家事全般を担っていた方が「患者さん」として接されるため、家庭内における役割が減ってしまい

「身体に無理をさせることはない・・・」
「家のことは全部やってくれるから・・・」

そんな風に、リハビリを頑張ることに意味を見出せない方もいらっしゃいます。私たちは、手芸が得意だったり、家族想いだったり、何かに詳しかったりするなど、その方の中で光っている個性や特技を持っている患者さんにお会いする機会が多くあります。

素晴らしい個性や光るものを持っている患者さんが、家庭内の役割が減ってしまったり、社会との繋がりが減ってしまうことによって、患者さん自身が望んでリハビリをするのではなく、”訪問リハビリが来てくれるから運動するよ”という受け身な時間を過ごすことが時々あるんです。
それも訪問リハビリの大事な役割の1つなのですが、

「おうちでよかった。訪看」の訪問リハビリの時間は、

“患者さんご自身の力で、人生を歩んでいくをお手伝いをしたい

そんな想いで、患者さん自身が主体的に取り組めるリハビリ支援を目指しています。

もし、家庭内での役割が減っていても、社会に目を向けると、様々なニーズや色んな場があって、新たな役割をもって社会活動できる場所があるかもしれない。
その場を経験することによって、患者さんの主体性向上や生きがいが生まれるかもしれない。

そんな想いを持って、この企画を組み立て始めました。

どんな患者さんが関わってくださっているんですか?

 この企画を頭の中で組み立てていく中で、3名の患者さんにお声がけをしてみました。

1人目は、小箱の土台となる*カルトナージュを制作いただいている方です。その方は以前看護師として働かれていた方で、病室にゴミ箱すらなかったモノがない時代、入院されている患者さんに「不要になった箱に布を貼って患者さんにお渡しすれば、なにか活用してくれるかもしれない」と感じて、すてきな箱を制作して、患者さんにお渡ししていたそうです。

*カルトナージュは厚紙に布や紙を貼り、箱や小物を作るフランスの伝統工芸です。

2人目は、裁縫がとっても得意な方で、カルトナージュに装飾を付けてくださっている方です。その方のご自宅には、裁縫で作られた素敵な作品がたくさん飾られています。”誰かの手に渡ることのない、飾り切れないほどの作品が、ご自宅にあるだけ”というのは、少しもったいない気がしていました。

3人目は、アンケートづくりにご協力いただいている方です。この方は、非常に明哲で長くお勤めされていた経験をお持ちです。ご自身の趣味でパソコンを操作されている姿を見たとき、このイベントで集計するアンケートづくりに力を貸してくれないかとお声がけしました。

最初は「Google Formsなんて作ったこともないし分からない」と遠慮気味の様子だったのですが、もしよければ、調べてみることだけでも試してもらえないか相談させていただきました。すると、翌週の訪問でお会いしたときには、すでにアンケートフォームが完成されていたんです!さらに、アンケートで使用する言葉の表現の提案をしていただくなど、細部までこだわって作成していただきました。

お誘いしたとき、患者さんからの反応はいかがでしたか?

「やってみよう!」と言っていただく方や、
「モノが溢れている時代に、小箱を受け取る人はいないかもしれない」

とおっしゃる方がいるなど、患者さんからいただいた反応はそれぞれでした。
私は患者さんとの日々の関わりの中から、

“患者さん1人ではなくて、一緒にならできるかもしれない”
“誰かのために!と思うと患者さんの身体が動き出しそう”

そんなことを感じて、制作をお願いしている患者さんに、『「おうちにかえろう。病院」に入院されている患者さんやそのご家族が受け取ってもらえるような企画はどうかな?』と相談しました。

実は「おうちにかえろう。病院」に入院されている患者さんは、ほとんどの時間を病棟で過ごされているため、四季を感じにくい環境で過ごされています。そんな方たちに、季節の変化を楽しんでもらえる小箱を受け取ってもらえないかと考えたんです。

その話をしてみると、患者さんたちの反応が変わりはじめ、

「それならば!」と、制作に着手していただけるようになりました。

小箱につける装飾を見た元看護師の方は

「同世代の方で、こんな丁寧で細かいことができる人いるんだ!」
「1人だとできないけど、一緒にやればできるね」

と、嬉しそうな表情を見せてくれたんです。リハビリにあまり前向きではなかった方だったのですが、最近は訪問に伺うと、すっと起きて準備運動をしたあとに、机に向かってカルトナージュづくりをしてくださるなど、行動変容を見せてくれています。

企画を進めていく上で、悩んだことはありませんでしたか?

 私がすごく迷ったことは、自分のよかれで動いているんじゃないかということです。
「あなたがやりたいからやるの?それとも患者さんがやりたいからやるの?」
上長からそう問われる度に、何度も振り返りました。

この試みを通して、患者さんがどのような行動変容をするのか知りたいのは、私自身がやりたいことかもしれないと葛藤もしました。

ですが私は、家庭内での役割が減り、生きがいを感じづらくなっている患者さんに対して、なにか社会活動ができる場を提供して、1回経験していただくのはどうだろうと考えました。

リハビリには、活動を通して自分を知るという要素があります。

患者さんが絶対にやりたいことではないかもしれないけど、私が患者さんの背中を押して、
患者さんの気持ちが

「この経験をして良かった」
「私はこういうことが好きなんだ。得意なんだ。」

という自分の強みに気が付いてくれるかもしれない。

この試みは、リハビリの大切な要素を含んでいると考えはじめました。

また、制作を進めていく過程で、理学療法士と患者さんという関係性にも変化が生まれはじめたんです。

例えばアンケートを制作いただいている方とは、アンケートの制作に留まらず、記載している言葉の表現の調整であったり、QRコードの発行依頼などをメールでやりとりさせていただきました。

患者さんとビジネス的なやりとりをメールで進めていく中で、これまでリハビリの時間で生まれる会話からは出てこなかった言葉が出てきたりするんです。リハビリの時間だけでは知ることができなかった、その方の新たな一面を知れるきっかけにもなりました。

こうしたことが、私がこの企画を進める原動力につながったんです。

季節の小箱はどんな方に受け取ってほしいですか?

 どれくらいの人たちが手にとってくれるかなと言う不安はありますが、この季節の小箱は、患者さんに限らず、誰かにあげたいなという気持ちがある方に手に取ってもらいたいなと感じています。

誰かのためにというカタチで手に取り、お渡しするときって、どうしてその人に渡したいと思っているのか、自分自身がどんな風に渡してあげたいか、それぞれ物語があると思うですが、その物語をぜひ、私たちにも教えていただきたいと感じています。

“ご家族や大切な人が過ごされる病室に彩りを添えたい”
“遠くに住んでいる祖父母や家族に受け取ってほしい”

どんな物語でも構いません。この試みにご協力いただいている患者さんが、受け取った方の物語にも触れられるよう、この試みに関するご感想を、みんなで共有できるところまでこの企画を考えています。作品を手に取った方の物語が、制作に関わった患者さんたちのやりがいに火をつける。そんな温かな循環で人は前向きに暮らしていくのではないかと感じています。

ぜひ「おうちにかえろう。病院」にお越しになる際には、1階ロビーを覗いてみてください。

いかがでしたか?

今回のコラムでは12月12日(木)から25日(水)まで開催している大切な人に送る”季節の小箱”を企画した理学療法士の名越さんにインタビューいたしました。

作品づくりや企画をウラガワから支えてくださっている患者さん3人の想いと力を掛け合わせて、誰かに届ける。「おうちでよかった。訪看」が大切にしている”自分らしくいられる時間を通して、前を向ける暮らしをつくる”ことに繋がる温かな企画の背景を教えていただきました。

最後までお読みいただきありがとうございました。

大切な人に届ける “季節の小箱”の概要

展示期間:12月12日(木)~12月25日(水)
展示場所:「おうちにかえろう。病院」1階ロビー
内  容:患者さんが制作した季節の小箱を「おうちにかえろう。病院」1階ロビーに展示。
     展示されている作品は病室やご自宅にお持ち帰り可能。
対象の方:「おうちにかえろう。病院」に入院している患者さんとそのご家族。

※お持ち帰りいただく方を対象にアンケートを実施します。
 アンケートへのご回答にご協力をお願いいたします。
※展示されている作品は、どなたでも鑑賞いただけます。
 ぜひ、展示期間中「おうちにかえろう。病院」へお越しくださいませ。
※個数には限りがありますので、無くなり次第、予告なしに終了になる場合があります。