#在宅医療PAのしごと
”私はなんでもない人”患者さんの最期を思い続ける在宅医療PA®
患者さんが
安心できるように。
私は最期まで
一緒に走り続ける。
みなさんこんにちは!TEAM BLUE広報担当です。
本日は「やまと診療所」に中途入職し、在宅医療PA®として働いている金本さんに、これまでのキャリアや、入職したきっかけについてインタビューしました。是非ご覧ください。
▼金本さん
やまと診療所 中途入職3年目。在宅医療PA®になることを志して大阪から上京。
趣味はダイビングや銭湯にいくこと。
Q1 これまでのキャリアを教えてください
新卒で地元大阪にあるCDショップを運営する会社に入社し、店舗で販売や接客をしている傍ら、インストアライブの音響と照明などを担当。接客やインストアライブを通して、目の前で楽しんでくれるお客さまの笑顔を直接見れることがとてもやりがいに感じていました。
4年目を迎えたとき「やり切ったな!」という想いと、他の仕事も経験してみたいという気持ちが重なり転職を決意。人材派遣会社の仕事に就くことになり、求職者との面談を日々行っていました。面談では”採用候補者の方をきちんと知りたい”その想いでアイスブレイクを交えながら、相手の方が話しやすい空間を作って、丁寧に質問を深掘りしていくことを心掛けました。周囲からは「面接時間が長い!笑」と言われることもありましたが、私は相手の話しやすい環境を作ることも大切なことだと感じていました。
Q2 そこからやまと診療所を知ったきっかけはなんですか?
私が在宅医療の世界を知ったきっかけは、祖母が訪問診療を受けることになったことで、祖母の自宅に医療従事者の方が入るようになったことがきっかけです。月日が流れ、祖母を看取ることになったのですが、周囲から「若いのに良い経験をしたね」と言われたことがあり、私はその言葉に違和感を感じていたんです。そんなとき、テレビでやまと診療所で働く在宅医療PA®の特集が放送されました。
医療資格がなくても訪問診療に関わりながら、患者さんの想いを繋げていく在宅医療PA®の姿や、人の想いを大切にしているやまと診療所の文化に惹かれた私は、「この仕事だ!」そう感じて、応募することを決めました。
Q3 やまと診療所に入職を決めた理由を教えてください
「やまと診療所」は自分の成長に繋がる場所だと感じました。その頃の私は、CDショップを退職してから良くも悪くも平穏に仕事していたので、何か目標を持ってのめり込む仕事がしたいと感じていたんです。TEAM BLUE代表の安井先生と面接したとき、予想以上に質問の回答を深掘りされる面接で少し焦りましたが、同時に在宅医療PA®に挑戦したい気持ちも同時に高まりました。内定を貰えたときは、上京する不安よりも在宅医療PA®になれる喜びの方が強かったと感じます。
Q4 現在の仕事内容を教えてください
1日8件程度、患者さんのご自宅に訪問させていただき、診療に関わる医師のアシスト業務や環境調整をしています。在宅医療PA®である私たちは、医療資格を持たず、医師のアシストや患者さんの環境調整をする仕事を担っています。そんな私が日々心掛けていることは、患者さんやそのご家族に”私は何でもない人だよ“と感じてもらえるような話し方をすることです。患者さんの中には、医師が家に来るということだけで緊張してしまう方もいらっしゃいます。私はカルテ記入やバイタル測定をしながら、患者さんにリラックスしてもらえるように、ご自宅に飾ってある写真について尋ねたりお天気の話をしたりするんです。そうすることで、患者さんの緊張の糸がだんだん解けて、私に笑みを見せてくれることがあります。
Q5 その意識を持つことで、患者さんとの関係が変わった出来事はありましたか?
担当していた患者さんが、私に心を許してくれた出来事がありました。やまと診療所で訪問させていただいていた患者さんが「おうちにかえろう。病院」に一時入院することが決まったとき「私は独り身だから、誰も会いに来てくれない」と、少し寂しそうな表情を見せた瞬間がありました。私はその表情が心の中に残り、その方が入院されている期間に会いにいく習慣を作って、しばらくそのことを続けると「これからも会いに来てくれるんでしょ?」と声をかけてくれて、今まで聞けなかったお話をしてくださる機会が増えたんです。その方が退院されて、再び訪問診療をさせていただくようになったときには、これまで以上に信頼関係を築きながら診療をさせてもらうことができました。
Q6最初からそういった関わり方ができていましたか?
最初の頃は全くできませんでした。この仕事を始めたころ、診療中に患者さんとどんな話をすればいいのか戸惑いを感じることもありました。
病気のことに触れていいのかな?
最近は何をして過ごしているのか聞いてもいいのかな?
患者さんにお伺いすることを躊躇してしまった結果、なにも聞けずに診療時間が終わることも。このことを一緒に診療に回っている仲間に相談してみたら、
「患者さんはどう感じているのか気持ちを聞いてみたら?」
「おうちにある写真ひとつでも歴史が詰まっていて、その人を知るお話しが聞けるかもね。」
などのアドバイスをもらい、少しずつ聞いてみることを決めて実践に繋げました。入職してから1年半くらいは、自分が患者さんに対してどう立ち回ればいいのか悩むこともありましたが、ある出来事がきっかけで自分の仕事に対する意識が大きく変わりました。
Q7 それはどういった出来事でしたか?
1年目から担当していた心不全をお持ちの患者さんとの出来事です。その方は「病院は牢屋に入れられた気持ちになるから、最期まで自宅で自由に過ごしたい」という想いをお持ちでした。その後、状態が悪化し心不全の症状を緩和することを目的に、一時入院を選択されましたが、病院側は心不全の治療が必要であると判断。患者さんの自宅に帰りたいという想いと、要介助状態でご家族の負担を減らしながら治療の経過を見守る病院側の意見に分かれました。治療については、今後の方針を家族と合意が取れている状態でしたが、患者さん自身は”身体が辛い状況でもずっと家に帰りたい”とおっしゃっていました。
「このままだと、この方は病院で最期を迎えてしまう。どんなに辛くても家に帰りたいと言い続けている患者さんが目の前にいて訴え続けている。このままでいいのかな。」
そう感じた私は、”このまま病院で過ごす時間は、ご本人やご家族にとっていい時間なのだろうか?”そのことを自分に問い続けました。患者さんのことを介助されるご家族の気持ちを知りながら、
「本人は自宅に帰りたいと言っている。本当にこのままでいいの?」
私は、病院の医師や看護師に問い続けました。慎重に議論を続けた結果、患者さんの退院日を決めることができたのですが、その方がご自宅に戻られる車中で患者さんは息を引き取られました。
自宅に戻るまでの車中で息を引き取られたこと。
もっと自分が働きかけをすれば、もう少し早くご自宅に帰ることができたのではないか
このことが私の心に残り続け、
この出来事から人生の最期の時間に関わらせてもらう責任感を強く感じました。
在宅医療PA®の仕事は、患者さんやそのご家族だけでなく、医師・看護師・ケアマネジャーさんなど多くの意見や想いを受け取ります。ゆくゆくは患者さんも自分の意見を言えなくなってしまうこともあると思います。その時に”なんでもない私”がその方の想いや背景を知って伝えることによって、その方の希望に少しでも近づけることができるのではないかと思います。私は、たとえどんな最期になったとしても、在宅医療PAが本人の想いや希望を諦めずに、一緒に最期まで走ること。その思いは患者さんやご家族に届くと信じています。
Q8 今後の目標を教えてください
”在宅医療が介入することで最期まで患者さんの日常を温かく過ごすことができる”ことを伝えていきたいと感じています。初めて在宅医療を受ける多くの患者さんやそのご家族は、”24時間付きっ切りなのか” “急変したらどうすればいいか”といった不安を多く抱えていらっしゃいます。
そうした不安を解消するために丁寧に説明しながら、訪問をすることで、いつも通り生活を送ることができたり、面会制限なく、会いたい人に会える喜びや楽しさを知っていただきたいと感じています。この気持ちは、私が祖母を自宅で看取った経験もそうでした。しんどく感じるときもありましたが、自宅で変わらず過ごす祖母との楽しかった会話の思い出がいまでも心に残っています。
だからこそ、「いつも通り過ごして大丈夫」ということをこれから伝えていきたいです。
いかがでしたか?
今回のインタビューを通して”私はなんでもない人だよ”と患者さんに感じてもらう関わり方をしながら、裏側では、患者さんの最期を真剣に考える金本さんの姿勢を知ることができました。
やまと診療所では常にスタッフ同士の会話が活発に行われているのですが、その話の中心にいるのはいつも患者さんやそのご家族の想いです。
医療業界未経験でも大丈夫。
在宅医療PA®にご興味のある方は一度診療所見学に来てみませんか?
オンラインによるカジュアル面談も行っておりますので、どうぞお気軽にお問合せください。
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